タイトルの様に今年は太陽光発電搭載のお宅での雪害事故が非常に多いです。
これは『想定内』であり、『想定外』でもあります。
というのは太陽光発電が載っているお宅の落雪事故は、我々建築業者としては想定内で、そもそも設計時にそれなりの対策を講じ、なるべく被害が大きくならないように設計することが求められます。
特に新潟県では通常積雪がありますので、隣家に迷惑が掛からないようにするという配慮は必要です。
そして想定外というのは、これはお施主様の考えです。
『まさか』という驚きの事故発生で、しかも建てて間もないうちに屋根周りが壊れてしまったりする訳です。
太陽光発電を採用する際、新築時に設計者からこのような状況になるかもしれないとは聞かされていたことはあるでしょうか。
発電量最大限になるようになどとメリットの話がほとんどなのではないでしょうか。
物事にはリスクが必ず付いてまわります。
メリット・デメリットをしっかり伝えてあげることこそがプロの仕事だと思います(プロは様々な経験があるので)
今回は新潟市西区にお住まいの方よりご相談があり、雪止めアングルが屋根から落下してきたとのこと。
現場確認を行ったところ太陽光発電が載っており、ちょうど雪解け始めた頃で、滑り落ちた雪の重みでアングルが耐え切れず、金具部分が切断され落下してきたようです。
軒下に人がいたら大事故になっていました。
幸い隣家の駐車場にも影響なく大事に至っておりませんでしたが、硬い鉄の棒が屋根から落下してくることを想像すると非常に恐ろしいものです。
こちらのお宅は割と新しい建物が建ち並ぶ密集住宅地で、西面に片流れの屋根形状でした。
接道面は北です。
つまり西側の隣家に雪が落ちる仕組みになっていたのです。
誰でも想像付きますが、ある程度の積雪になると隣地に雪が落ちていきます。
配慮として雪止めアングルが一段取り付けてありましたが、このような大雪になり、雪の重みと太陽光パネルで落下加速がついた雪の力でアングルが破壊されたようです。
これは想像絶する落下衝撃です。
そもそも住宅密集地で隣地に雪が落ちるような設計をしたのもどうかと思いますが、それはさておき、太陽光発電を載せる場合は本当にリスクが高いということを今回改めて感じました。
アングルの金具が破断した訳ですから・・・
雪下ろしをするにしても、屋根上には面積いっぱいのパネルが載っているので足の踏み場がありません。
このような状況の屋根では、雪下ろしを依頼されてもお断りされると思います。
落下した雪はアングルを破断させただけでなく、エコキュートカバーをへこませ、エアコン室外機屋根も破損させました。
このような場合どうしたらよいのか?
敷地環境や屋根形状によって対策は異なります。
屋根形状を変えることはコスト等を踏まえ現実的ではないので、外部に何かしらの対策が必要になってきます。
隣地境界線に塀を建てる、雪止めアングル増設、軒先フェンスを設置、屋根融雪設備、太陽光発電パネルを減らすもしくは撤去・・・
等検討しないといけません。
しかしながらこのような対策でも限界はあります。
その限界を踏まえて、最良の選択をしなければいけません。
火災保険では自宅の損害は補償されますが、隣家の被害は補償されません。
隣家の方の保険を利用することとなります。
今回被害に遭われ修繕費発生などお金の面で大変ですが、相隣関係はお金では解決できない大きな問題となりますので、よく考えないといけません。