最近阿賀町によく出没するワタクシ・・・
実は弊社が加盟する全国古民家再生協会のプロジェクトの一つとして、『古民家移築』を行っております。
阿賀町と今年の7月に空き家に関する包括連携協定が締結され、早速取り組みがなされております。
その活動内容の一つで、今回阿賀町に存する古民家空き家を移築再生するプロジェクトが実行されております。
人口約1万人、世帯数5000件、現在確認されている空き家数は600棟ほど。実際はもっとあるかと思いますが、このような状況から将来この町が消えることが懸念されます。
そうならないよう、自治体及び地域住民と協力し対策を施していかねばなりません。
コロナ禍においてインバウンド需要も無い中、いかに関係人口を増加させるかが焦点です。
地域の魅力を発信し、どれだけ足を運んで頂けるか?魅力ある町づくりにこれから期待されます。
先日阿賀町を訪れた際に、役場の担当者から日出谷集落をご案内頂きました。
山に囲まれ、線路もあり、田園風景が印象的で本当に素敵な集落でした。
この集落は現在6棟の空き家が存在しているとのことですが、近い将来もっと増えることは必至です。(住人年齢や家族構成から)
つまり限界集落になるのは時間の問題。
住まいづくりはまちづくりの理念に基づき、我々建築会社や不動産会社にできることは何か?
シンプルに家を建てることだけでなく、これからは地域の活性化やまちづくりを考えていかないといけません。
家を建てるだけの時代は終わりました。
ローコスト住宅が量産されボンボン建っていくバブル期のような時代ではありません。
その量産された住宅が現在空き家になっていたり、相当なメンテナンスを必要とされていたりと建物の寿命を迎えております。
しかし、このような集落に存する古民家は先人の知恵がたくさん詰まった伝統構法なので、その構造はしっかりしており、まだまだ生きる貴重な建物です。
新建材を使用して極限までコストを抑え、施工技術や品質の低い安普請の建物とは比較になりません。
しっかりメンテナンスすることで、この100年生きてきた住まいがまた100年と未来へ繋がっていきます。
現在一般的に建てられている在来工法の家の歴史は70年余り。100年以上の実績ある古民家には劣ります。
こちらは普通に地元町民のお宅で、立派なせがい造りの軒が素晴らしいですね。
残念ながら10年20年?空き家の状態です。
屋根や壁には穴が空いており、室内もだいぶ被害があるように見えます。
もったいない・・・
でもどうすることも出来ないと所有者のほとんどは困っているのが現状。
このお宅も親から相続したが、自分たちは住まいのでずっと空き家。
そのままにしておけば朽ちて近隣に迷惑も掛けてしまうことになるし、修繕するにしてもコストが掛かるし、修繕したとしても住まないのでもったいないし、売るにしても買ってくれる人がいるかどうか・・・
深刻な悩みです。
どんなに素晴らしい材を使用し豪華で大豪邸だったとしても、活かされなければいわるる『負動産』となるのです。
モノは活かしてナンボ、家も活かしてこそその価値があるものです。
このような大豪邸を修繕し維持しようとすると、現状にも依りますが、2000万円~4000万円は掛かります。
ビックリする値段ですが、そこまでして直すか?購入してそこまでコストを掛けて住みたいか?しかも山間の集落でコンビニやスーパーも至近に無い・・・
本当にどうしていいか分からない状況ですよね。
打つ手は無限にある!と云います。
一人で悩んでいては何も変わらない・・・
自治体に相談しても解決してくれない・・・
皆で手を組み、総出で地域の空き家課題に取り組まなければいけないのです。
伝統構法は現在のようなコンクリート基礎ではなく、石の上に建っている石場建て工法です。
このように石の上に土台が流れている形を『敷土台』と云いますが、雰囲気あっていいじゃないですか。
もちろんこのような建て方は建築基準法に違反するので、今は採用できませんが・・・
腐食とシロアリ対策は必須ですが、このような部分にも、水や虫に強い樹種の採用や通気、雨対策など先人のよく考えられた仕組みが伺えます。
見方によっては解体しゴミと化すか、磨けてまた光る財にするか?
貴重な地域の財をゴミにしないよう、今その利活用が求められております。