最近高齢者が自宅や所有する遊休地、空き家などを処分し、終活や老後の資金づくりを行う方が徐々に増えています。
しかし、そう簡単には行かない不動産の処分。
何故か?
それは所有者の判断力や意思確認が不安定な状況にあり契約行為が出来ないケースが多発しているからです。
例えば親が認知症になった場合です。
以前は家族がその人の為に行う行為として不動産の処分等が出来たのですが、現在は非常に厳しくなり良かれと勝手にその処分をすることがほぼ出来なくなりました。
親の所有する不動産の存在が分からなかったり、親の体調が悪くなってから気付くことが多いのが現実。
売買などの法律行為を行うには自分の行為の結果を判断できる『意思能力』が必要です。
高齢者等が意思表示をした時などに意思能力を欠いていた場合には、その法律行為が無効になります。
ちなみに若者や健康で意思能力が有っても、酔っぱらっていた時もダメです。(判断力が散漫している状況)
そのままですと維持固定費が嵩み、建物であればメンテナンスを要したりと、何かと経費が掛かります。
莫大な財産を持つ親が認知症や要介護度が進んだ場合、面倒をみる家族(配偶者や子供達)はどうすれば良いのか?
それは、そうならなる前に早めの行動をとることを強くお勧めします。
本人も家族もまだ元気だから大丈夫と思っていても、いつどうなるか分からないので、法律行為が出来るうちに何かしらの対策を打つことが望ましいです。
最近親の不動産処分の相談を頂く事ありますが、聞いてみると親は施設に入所中で要介護度4とか、認知症であるというケースが半数近くです。
そうなると売却や解体も出来なくなり、亡くなってから相続後の処分となります。
それまで待つしかないのです。
資産状況によっては非常に厳しい面が発生する場合もあります。
そこで一つの方法として、法定後見人を立てるということが出来ます。
事理の弁識能力レベルによって
●成年被後見人(常に物事の弁識能力を欠く状況で、成年後見人が本人に代わって法律行為を行います)
●被保佐人(不動産の処分をする場合は家庭裁判所の許可が必要だったり、保佐人の同意で法律行為が可能です)
●被補助人(補助人の同意で不動産の処分が可能ですが、実際は被保佐人同様裁判所の許可が必要なケースが多いです)
に分けられそれぞれの状況により手続きが異なります。
令和二年度厚生労働省白書によると65歳以上の認知症率は16.7%で約602万人とのことで、実に6人に1人が認知症患者だそうです。
超高齢社会において増々増えることは必至です。
どうにもこうにもならない状況になる前に、じっくり家族会議をしてみてはいかがでしょうか。